あなたが昼間働いていて、仕事の合間に株取引をやっているなら、株の注文方法について詳しくなることをオススメします。
- まるで機械が株取引しているかのように取引できるようになります
- 取引時間を制限することで、仕事への影響が少なくなります
- 重要な会議中に株式の約定メールが届くこともなくなります
以下で紹介する注文方法は、どちらかといえば短期での取引とか、デイトレード向きの注文方法です。その多くは、注文の有効時間が当日内と限られているほか、細かな売買を可能にするものばかりだからです。
そのため、一度株を買ったら売らない(バイ・アンド・ホールド)ではあまり使うことはないかもしれません。
ぜひ、あなたの取引状況に応じて使ってみてください。
特に後半の特殊注文は、相場で損失を最少にして、利益を最大化するためにとても役立つと思います。
基本的な注文方法(指値注文と成行注文)のおさらい
最初におさらいしておきます。
- 指値注文(さしね):価格を指定して取引したいときに利用する注文方法
- 成行注文(なりゆき):価格は市場に任せ、今すぐ取引したいときに利用する注文方法
です(会社勤めのサラリーマンはいつ株を買うの?の注文方法を参照)。
また、これとは別に逆指値注文(ぎゃくさしね)もよく利用されます(昼間働いてる方は絶対覚えておきたい逆指値の使い方)。
逆指値注文は指定した価格に到達したら発注する注文方法です。
指値注文を利用した注文あれこれ
以下で紹介する注文方法は、指値注文に失効条件として「時間」を組み合わせたものです。
寄指注文(よりさしちゅうもん)
寄指注文(よりさしちゅうもん)は株の売買が始まる寄付(よりつき)のタイミングでのみ執行される指値注文のことです。寄付のタイミングでのみ有効で、取引時間中には利用しません。
寄指注文が前場(9時~11時半)に執行された場合には、後場(12時半~15時)には引き継がれません。もし、後場の寄付で寄指注文を利用する場合には、昼間の休憩時間(11時半~12時半)に注文を行う必要があります。
例外的に、ストップ安/ストップ高や売買停止といった理由で値がつかなかった場合は、前場に限り、後場に注文が引き継がれます。後場から翌日への引継ぎはありません。
寄指注文の使い方
- 有利な条件で株式を売買したい
- 取引時間中(ザラバ中)には注文を引き継ぎたくない
- 仕事中に株を買いたくないあなたに
場合に利用します。「寄付で買えなかったら買わない(寄付で売れなかったら売らない)」といった注文方法です。
寄指を使うメリットとして、
- 取引時間を朝9時に制限できるため、仕事時間中は相場や注文のことを意識する必要がなくなる
- 寄付とその後の取引時間で外部環境が同じとは限らない
などが挙げられます。
寄指注文を行うのは株式市場が開く前もしくはお昼の休憩時間中です。
寄付のタイミングは取引量が多く、取引時間中でもっとも高い(低い)株価がつくこともあります。そういった状況を狙いたいですね。
引指注文(ひけさしちゅうもん)
引指注文(ひけさしちゅうもん)は株の売買が終わる引け(ひけ)のタイミングでのみ執行される指値注文のことです。引けのタイミングでのみ有効なので、取引時間中(ザラバ中)には注文は発動しません。
引指注文が前場(9時~11時半)に執行された場合には、後場(12時半~15時)には引き継がれません。もし、後場の引け(大引け)で引指注文を利用する場合には、昼間の休憩時間から大引け前(11時半~15時)までに注文を行う必要があります。
株式の取引量が少ないなどの理由で、引けに売買が成立せず、値がつかなかった場合には、注文は失効します。
また、ストップ安/ストップ高や売買停止といった理由で値がつかなかった場合も、次の取引に引き継がれず失効します。
引指注文の使い方
- 有利な条件で株式を売買したい
- ザラバの時間中には売買したくない
- 仕事中に株を買いたくないあなたに
場合に利用します。
引けのタイミングは取引量が増えますので、ザラバ中よりも有利な条件で取引できる可能性があるんです。
こちらも取引時間を午後15時に制限できるため、仕事時間中は相場や注文のことを意識する必要がなくなります。
不成注文(ふなりちゅうもん)
不成注文(ふなりちゅうもん)は、ザラバ時間中に指値注文を入れておき、もしその指値が引けまで約定しなかったら、引けのタイミングで成行注文に切り替わる注文方法のことです。
最後は成行に切り替わりますので、基本的には注文した株式を売買して取引を終了することになります。
ただし、例外的にストップ高/ストップ安などで注文が偏っている場合には、不成注文は成立せずに失効します。
不成注文の使い方
ザラバ時間中に注文が成立しなかった場合に自動的に成行注文に切り替わりますので、ザラバ中に買えなかったら(売れなかったら)、最後はいくらの価格でも良いから買いたい(売りたい)といった場合に利用します。
たとえば株主優待の権利が確定する日(権利確定日)に、
- A株を当日中には絶対買いたい
- できれば、安くA株を買えたら嬉しい
といったあなたの要望に答えます。
なお、この注文方法は株式の信用取引で利用されることが多いです。ネット証券が提供する1日信用取引は、サービス利用可能期間が1日以内と決められているためです。
成行注文を利用した特殊注文あれこれ
以下で紹介する注文方法は、成行注文に失効条件として「時間」を組み合わせたものです。
寄成注文(よりなりちゅうもん)
寄成注文(よりなりちゅうもん)は株の売買が始まる寄付(よりつき)のタイミングでのみ執行される成行注文のことです。寄付のタイミングでのみ有効なので、取引時間中は利用しません。
寄成注文が前場(9時~11時半)に執行された場合には、後場(12時半~15時)には引き継がれません。もし、後場の寄付で寄成注文を利用する場合には、昼間の休憩時間(11時半~12時半)に注文を行う必要があります。
例外的に、ストップ安/ストップ高や売買停止といった理由で値がつかなかった場合は、前場に限り、後場に注文が引き継がれます。後場から翌日への引継ぎはありません。
寄成注文の使い方
- 寄付で絶対に買っておきたい(売っておきたい)
- ザラバ中には注文を引き継ぎたくない
- 仕事中に株を買いたくないあなたに
場合に利用します。
成行ですので、基本的には取引が成立しますが、ストップ安/ストップ高や売買停止といった理由で、寄付で値がつかない場合もあります。こういった銘柄をザラバ中に取引したくないと考えるときにこの注文を利用します。
また、取引時間を朝9時に制限できるため、仕事時間中は相場や注文のことを意識する必要がなくなります。
寄成注文を行うのは株式市場が開く前もしくはお昼の休憩時間中です。
引成注文(ひけなりちゅうもん)
引成注文(ひけなりちゅうもん)は株の売買が終わる引け(ひけ)のタイミングでのみ執行される成行注文のことです。引けのタイミングでのみ有効なので、ザラバ中には注文は発動しません。
引成注文が前場(9時~11時半)に執行された場合には、後場(12時半~15時)には引き継がれません。もし、後場の引け(大引け)で引成注文を利用する場合には、昼間の休憩時間から大引け前(11時半~15時)までに注文を行う必要があります。
ストップ安/ストップ高や売買停止といった理由で値がつかなかった場合も、次の取引に引き継がれず失効します。
引成注文の使い方
- 引けで絶対に買っておきたい(売っておきたい)
- ザラバの時間中には売買したくない
- 仕事中に株を買いたくないあなたに
場合に利用します。
ストップ安/ストップ高や売買停止といった理由で注文が通らないケースもありますが、引けで必ず取引しておきたい場合に利用します。
こちらも取引時間を午後15時に制限できるため、仕事時間中は相場や注文のことを意識する必要がなくなります。
IOC(Immediate or Cancel order)注文
指定した株価、もしくはそれより有利な条件で瞬時に取引を成立させ、取引が成立しなかった数量は注文失効とさせる注文方法です。「一部だけでも良いので取引しておきたい」といった場合に利用します。
IOC指値注文と、IOC成行注文があり、
- IOC指値注文:指定した価格かそれより有利な価格で即時に約定(自分で価格を指定する)
- IOC成行注文:注文失効時の価格かそれより有利な価格で即時に約定(市場の最良条件に任せる)
と使いわけが可能です。
IOC注文は発注と同時に取引が行われ、成立しなかった取引は即座に失効します。そのため、発注後の訂正・取消はできませんので、慎重に発注する必要があります。
「予約して使う」ことはできませんが、その代わり注文を引き継ぎたくない場合に有効に利用可能ですから、例えば午後に会議があって、株どころではない状況などにいかがでしょうか。
特殊注文あれこれ
OCO(One Cancels the Other)注文
指値注文または不成注文と、逆指値注文を同時に発注する注文です。この注文は、あなたが現在保有している株式を売却したいときに利用できる注文方法で、現在の株価を挟んで2つの注文を同時に出します。
例えば、ある株式を保有している場合、
- 今後、株価が上がったら、株を売って利益を確定したい
- 逆に株価が下がったら、株を売って損切りしたい
と考えることがよくあります。その時に利用できるのがOCO注文です。
同時に2つの注文を出せることと、一方の注文が成立すると、もう一方が自動的に取り消されるのがメリットです。
ロスカットと利食いの両方を考慮できる点で、昼間働いてる方は絶対覚えておきたい逆指値の使い方で紹介する逆指値よりも使いやすいと思います。
IFD(IfDone)注文
株の買付注文(親注文)と売却注文(子注文)を同時に発注できる注文方法です。この注文は、あなたがこれから株式を購入しようとしていて、購入と同時に売却注文予約を行いたい場合に利用します。
例えば、「A株を500円で買ったなら、ロスカットは480円かな」と考えたなら、
- 指値注文:500円
- 逆指値注文:480円
としてIFD注文を行います。
注文を出した時点で、その先の相場のことも考えられる点で、他の一般的な注文方法よりも優れています。あなたが仕事中にトレードしたい会社員なら是非とも覚えておきたい注文方法です。
なお、親注文が成立しなかった場合には、子注文は発注されません。
IFDO(IfDoneOCO)注文
株の買付注文(親注文)とOCO注文(子注文)を同時に発注できる注文方法です。この注文は、あなたがこれから株式を購入しようとしていて、購入と同時に売却注文予約を行いたい場合に利用します。
例えば、「A株を500円で買ったなら、ロスカットは480円、利食いは520円」と考えたなら、
- 指値注文:500円
- OCO注文1(ロスカット):480円
- OCO注文2(利益確定):520円
としてIFDO注文を行います。
3つの注文を考えなければいけないので、少し複雑ですが、購入もロスカットも利益確定も自動で行えるため、使いこなせば強い味方になる注文方法です。
まとめ
- 株式の基本的な発注方法は、指値と成行
- 指値と成行に時間を組み合わせたものとして、寄指、引指、寄成、引成。また、指値から成行に切り替える注文として不成注文
- 特殊な注文方法としてIOC、OCO、IFD、IFDO注文など
です。ここまで紹介してきたもの以外にも、証券会社独自の注文方法(特にライブスター証券やカブドットコム証券は多い。ライブスター証券のおすすめポイント、カブドットコム証券のおすすめポイント)があります。
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