株式市場が開いている間(ザラ場)では、株式はオークション形式で売買されます。すなわち、株式市場には株を買いたい投資家と売りたい投資家がいて、買いたい人が多ければ株価が上がり、売りたい人が多ければ株価は下がります。
株価が変動するのは、この需要と供給のバランスの上で成り立っているからです。
投資家が株の売買を考える要因として、
- 株主優待や配当金
- 過去の株価変動に基づく値上がりと値下がりの予測
- 企業業績の予測と実績
- 株価に影響を与える国内経済政策の動向
- 重要人物の発言や進退など
- 国外(外部環境)の影響
などがあります。
つまり、市場で株価の値がつく理由として、買いたい投資家と売りたい投資家の需要と供給に起因しますが、各投資家がなぜ株を買いたいか(売りたいか)を考える理由には、企業業績や国内の経済政策などがある、というわけです。
これを、一個人投資家である私たちが完全に予想するのは難しいものの、証券会社が提供するレポートを参考にすることで、「投資のプロはこう見ている」という情報を手に入れることができます。
株式はオークション形式で値が付く
冒頭で述べたように、株式はオークション形式で取引されているため、株を買いたい人と売りたい人の「需給」によって値段が付きます。
株を買いたい人と売りたい人がいる
ここにある企業A社の株式を買いたい投資家と売りたい投資家がいます。
- 株を買いたい投資家:今A社の株を持っていない人
- 株を売りたい投資家:今A社の株を持っている人
A社の株式を欲しいと考える投資家は、その銘柄の配当金や株主優待などを目当てに欲しいと考えています。
一方、A社の株式を売りたいと考える投資家は、別の企業の株式が欲しい、もしくはA社の将来の業績は悪いのでは?と考え、株を手放したいと考えています。
このような人たちが株式市場に集まります(昔は冒頭写真のように実際に人が集まっていましたが、今は取引の電子化が進んだため、売買人が集うことはなくなりました)。
株を買いたい人と売りたい人
もし、株を買いたい人と売りたい人がそれぞれ同じ人数いれば話が早いです。1人ずつペアになって売買すればいいのです。
株を買いたい人が増えると株価は上がる
例えば、A社の企業業績が予想よりも良いものだった場合、一般的に株を買いたい投資家は増えます(もちろん例外もあります)。
もし、株を買いたい投資家が、売りたい投資家よりも多くなったら、その銘柄を欲しい全ての投資家に株式が行き渡らなくなりますね。
ここで、どうしても買いたい1人の投資家が発言します。「私は他の投資家より高いお金でA社の株を買うよ」と。そうすると売りたいと考える投資家は、その高い値段で買ってくれる人に売りたいと考えるのが普通です。
そうすることで株価が上がります。
株を買いたい人が増えると株価は上がる
もし、もっと高い値を示しても購入したいと考えるのであれば、他の投資家はもっと高い金額を示すはず。その結果、株価は値上がりします(上昇トレンドを描く、と言います)。
株価が上がると買いたい人はいなくなる
株価が上昇するにつれて、その価格では買えない投資家も出てきます。そのような投資家は「そんな値段じゃ買えないよ」と、売買から降りていきます。
やがて、買いたい投資家がいなくなったときが株価の「天井」です。
株価が上がりすぎると株を買いたい人はいなくなる
株を買いたい人がいなくなると株価は下がる
株価が「天井」に達したとき、その株をそれ以上の価格で買いたいと考える人はいません。ただし、その価格よりも安い値段なら買いたいと考える人は何人かいます。
そのため、株を売りたくなった投資家は、現在の価格よりも安い値段で売るしかありません。その結果、株価は下がります(下降トレンドを描く、と言います)。
株を買いたい人はいないと株価は下がる
株を売りたい投資家は、株を買いたい投資家が名乗りでるまで値を下げることになります。これを繰り返すことで株価は下落します。
株価が下がると売りたい人はいなくなる
株価が下がりきると、多くの投資家が株を手放してしまったため、それ以上売りたいと考える人がいなくなります。ここが株価の「底」です。
株価が下がると株を売りたい人はいなくなる
一方、株価の底まで売られると、「今のA社の株はすごく安いのでは?」と割安感を理由に再び株を買いたいと考える人が出てきます。その結果、株価は再び値上がりしやすくなります。
投資家は何を考えて株の値段をつけるのか
株価はオークション形式で決まると述べましたが、「なぜ投資家はその値段をつけて注文を出すのか」についても紹介します。
というのも、あなたが知りたいのはおそらく「どうすれば、将来の株価の変動を予想・的中できるか」だと思いますから。
株価変動に影響する要因として、以下が挙げられます。
- 株主優待や配当金
- 過去の株価変動に基づく値上がりと値下がりの予測
- 企業業績の予測と実績
- 株価に影響を与える国内経済政策の動向
- 重要人物の発言や進退など
- 国外(外部環境)の影響
個人投資家は株主優待や株価で取引
例えば、多くの個人投資家は株主優待や配当金目当ての投資を行うため、株主優待や配当金の権利が決まる「権利確定日」と呼ばれる日に向かって、株価は上がりやすくなります。彼らは優待を得ることだけを考えているので、優待の権利が決まってしまうと、株価は下落します。
また、過去の株価変動に基づく将来の株価予測は「テクニカル分析」と呼ばれ、多くのデイトレーダーが用いる分析手法です。「テクニカル」に企業業績は関係なく、完全に株価の変遷のみで将来を予想します。
関連記事:初めての株の選び方。利益に繋がる株はどのように探すのか?
機関投資家は企業業績を見る
いわゆる機関投資家(銀行や生命保険会社に勤務し、仕事として投資・運用を行う人たち)と呼ばれる人たちは、投資先企業の業績予想や、実際に投資候補となる企業を取材することで投資活動を行います。先ほどのデイトレーダーとは異なり、機関投資家は企業業績にかなり敏感です。
私たちが機関投資家と同じ投資手法を真似るのは大変ですが、例えば証券会社から提供されるレポートを参考にすることは十分可能です。
関連記事:岡三オンライン証券の「投資情報局」を利用して極秘の投資情報を入手しよう!
株式市場に影響を与える様々な外部要因
日本銀行やアメリカの連邦準備制度(FRB)の人事や決定内容も株式市場に影響を与えます。例えば、2012年以降の株高には、日本銀行の政策(金融緩和)も市場に大きく影響しています。
「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」とはどのようなものですか? | 日本銀行
これらはおおよそ事前に「予想」が出ますので、その予想にしたがって売買できます。
また、私たちが予想しようがない株価変動の要因として、天災や戦争などがあります。こちらはほぼ予想の難しい事例で、東日本大震災や北朝鮮の核実験などがその代表例です。
NISAに適した金融商品は?~株式編 地震と株価の関係を知る――過去の事例を検証 | モーニングスター
将来の株価変動をどのように予測すればよいか
- テクニカル分析を学ぶ
- ファンダメンタル分析(企業の業績から将来の予想株価を考える方法)を学ぶ
- 証券会社が提供するレポートを参考にする
簡単なのは「証券会社が提供するレポートを参考にする」でしょうか。
――― 私たち個人投資家が銘柄選びを上手になるためのアドバイスを頂くことはできますか
(田村様)「個人の方が分析をされるのは結構大変だと思うんですよ。正直なところ。それでしたら、プロが作ったものを見ていただいたほうがいいのかなと」
通常、証券会社が提供するレポートを閲覧するためには、証券会社への口座開設が必要です。筆者が知りうる限りは、岡三オンライン証券とSMBC日興証券は将来の予想株価込みで個人投資家向けのレポートを配信しています。
よくある質問
株価はいつ変動していますか?
東京証券取引所に上場する各企業の株式は、取引が行われる平日の9時~15時(11時半から12時半を除く)の間にリアルタイムで株価が変動します。
一方、上記時間外と土日祝日は東京証券取引所が閉まっていますので、株価は変動しません。
例外的に、SBI証券ではPTS(私設取引システム)と呼ばれる、東証とは異なる証券取引システムを提供しており、平日の夜間(17時~24時)にも取引が行われます。夜間PTSでの株価は、報道で用いられる企業の株価とは異なるものの、翌営業日の株価の先取りのような位置づけで見られています。
関連記事:PTSって何?夜も株を買えるってホント?
株価の変動はどのように確認できますか?
証券会社のスマホアプリを使いましょう。
株価の変動を示した図のことを「株価チャート」と呼びます。
まとめ
- 株に値段がつく理由は株を買いたい人と売りたい人がオークション形式で取引しているから
- 株の取引を行うために、投資家は優待や企業業績など様々な要因を考慮している
- 将来の株価予想を考えることが難しいと思うなら、証券会社提供のレポートを読んでみよう
なお、多くの個人投資家は将来の株価予想など気にせず、株主優待や配当金といった目的で株を買います。それが私たちにとってわかりやすい利益でもあるからです。
なので、あなたがこれから投資を始めるならば、
- あなたにとって魅力的な株主優待や好きな企業の株を買ってみる
- その企業の株価がなぜ動くのか、どんなときに動くのかをニュースと一緒にチェック
- 株価が動く理由がわかってくる!
といった流れで投資してみると、株にも関心を持ちやすく、株価の変動を学ぶ勉強になると思います。
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