複数の証券会社を利用することに関心をお持ちですか?
証券会社を複数利用すると、管理の手間が増える一方で、各社の強みを活かした取引やキャンペーンに参加できるなどの旨みもあります。
ここでは証券会社を複数利用するメリットとデメリットを一緒に見ていきましょう。
記事のポイント
- 証券会社は複数利用可能。複数社を利用すると、個人情報や資産の管理に手間がかかるが、各社のサービスの強みを活かした投資ができる
- 同じ証券会社に複数の口座を開設することはできない
- 一般NISAやつみたてNISAは日本全国の金融機関で1口座だけ。複数社への申し込みはできないので十分に検討してから開設しよう
証券口座は複数保有できます
証券口座は複数保有できます。例えば
- 株式を買うA証券
- 投資信託を運用するB証券
といった使いわけが可能です。
法律的な制限みたいなものはありませんので、その点はご安心ください。
複数の証券会社を利用するメリットとデメリット
証券会社を複数利用するデメリット
- 資産が分散するので利益も減るかも
- 住所や氏名などの情報管理が大変
- 確定申告が必要になる場合も
- スマホが証券系のアプリだらけに
資産が分散するので、利益も減るかも
あちこちの証券口座にお金を入れておくと、当然ながら資産が分散してしまいます。まとめて動かしたいときにちょっと手間がかかります。
投資で利益を大きくするには、結局大金を運用する必要があります。2つの証券会社で半分ずつ資産を運用するよりかは、1つの証券会社でまとめて運用したほうが儲かる可能性も大きくなります。
住所や氏名などの情報管理が大変
引越しや結婚に伴い、住所氏名を変更したときに面倒です。全ての口座情報を見直さなければいけないからです。場合によっては書類のやりとりが発生するため、手間がかかります。
なお、「メインの証券会社は情報を直したが、サブの証券会社は直し忘れていた」といった状態になると、証券会社から連絡が来る場合があります。私たちが保有する株式や投資信託の情報は「ほふり(証券保管振替機構)」で管理されており、その登録情報に不一致が生じるためです(体験談)。
それ以前に、各社ともログインIDとパスワードを管理しなければいけませんから、これが結構ごっちゃになります。
確定申告が必要になる場合も
例えば以下のケースでは、確定申告が必要になります。
- どの証券会社も一般口座 or 源泉徴収なしで利用している
- 各社とも源泉徴収ありで使っているが、損益を合算することで税金の還付を受けたい
「源泉徴収ありで利用している証券会社が、都合よく、あなたの取引をすべて合算してくれる」・・・という美味しい話はありません。複数社の取引結果を合算するのはあなたの役割です。
確定申告時には、各社の損益を1社分ずつ入力して行く必要があるので、地味に時間がかかります。
スマホが証券系アプリばかりに(笑)
証券各社のスマホアプリをインストールすると、スマホの画面が証券系アプリばかりになります。2つ程度ならまだしも、3つ4つとあったら「そんなに使うかな?」って気分になると思います。
アプリが勝手に通信してバッテリーや通信量を消耗することはありませんが、アプリをインストールすることによって内蔵メモリの容量は消費されます。
証券会社を複数利用するメリット
各証券会社のサービス・独自の商品を選択できる
複数の証券口座を保有することで、各証券会社の長所を生かした取引が可能になります。例えば、
- SBI証券で国内株式を買う
- 楽天証券で、楽天ポイントを使って投資信託を買う
- OneTapBUYで米国株式を買う
など、各社の強み・独自サービスを活用できるのです。
また、「A社では無料で閲覧できるが、B社では閲覧できない or 有料」といったサービスもあります。例えば、楽天証券ではスマホアプリから適宜開示情報を閲覧できますが、SBI証券ではできません。
欲しい商品や情報にアクセスしやすくなる、のが1つのメリットです。
IPO(新規上場株投資)の当選確率が上がる
特にIPO投資(新規上場株投資)に挑戦する投資家は複数の証券会社を利用していることが多いです。各社ごとに応募することで当選確率を上げるためです。
https://www.instock-ex.net/archives/595
最近の上場で言えば、「JR九州」や「LINE」、「メルカリ」といった有名企業のIPOは多くの証券会社で取り扱いがありました。
キャンペーンに参加しやすい
証券各社はそれぞれのタイミングでキャンペーンを開催することがあります。複数の証券会社を利用していれば、その分だけ応募のチャンスが増えます。
特にボーナスのタイミングでもある夏や冬は、各社ともキャンペーン多いですよね。
緊急時のシステムダウンに備える
特にデイトレーダーや、大口の投資家に多い話ですが、システム障害に供えて、複数社を利用される方もいらっしゃいます。
私は万一、システムダウン、停電した時=こちらはアウトですが…株価情報が入らなくなったら困るので情報配信会社がクイック社とロイター社のネット証券二社使ってます。
デイの人はシステムダウンすると情報が取れなくなりますからお手上げかと思います。
PCから発注できなくても情報がとれれば電話注文もできますしね。
証券口座を複数開設するときの注意点
同じ証券会社に複数の口座を開設できません
1つの証券会社では1口座のみです。例えば、「SBI証券に口座を複数開きたい」みたいなことはできません。
審査の結果によっては口座開設のご希望に添いかねる場合がありますのであらかじめご了承ください。(例:複数のお客様において、メールアドレスが同一である等、登録情報に重複がある場合。)
https://www.click-sec.com/corp/kouza/entry/kijun.html
NISA(一般NISA + つみたてNISA)は1人1口座のみです
NISA(一般NISA + つみたてNISA)は日本中の全金融機関をあわせて1つのみです。
Q NISA口座は、1人1口座しか作れないのですか?
A はい、すべての金融機関を通じて1人1口座です。
開設済みのNISA口座を異なる金融機関へ移動することはできますが、手間がかかります。
金融機関の変更を希望されるお客様は、変更したい年分の前年の10月1日から変更したい年分の属する年の9月30日まで(平成27年分の変更に限り、平成27年1月1日から平成27年9月30日まで)に、次の手続により、金融機関を変更することができます。
①変更前の金融機関に「金融商品取引業者等変更届出書」を提出し、「非課税管理勘定廃止通知書」の交付を受ける。
②変更しようとする金融機関に対して、「非課税口座開設届出書」に、上記①の「非課税管理勘定廃止通知書」を添付し提出する(「非課税適用確認書」及び「住民票の写し等」の提出は必要ありません)。
基本的には、最初からNISAに適した証券会社を利用し、そこを末永く使っていくのが良いです。
一般NISAとつみたてNISAの併用もできません
一般NISAとつみたてNISAの複数利用や使いわけもできません。
つみたてNISA口座と一般NISA口座は併用することはできません。どちらかを選択していただく必要がありますが、年ごとに切り替えが可能となっています
複数の証券会社で同じ銘柄を購入したら株主優待は?
株主名簿上で名寄せ(なよせ)されます。ので、株主優待が2倍に増えることはありません。
まとめ
- 証券会社は複数利用可能。複数社を利用すると、個人情報や資産の管理に手間がかかるが、各社のサービスの強みを活かした投資ができる
- 同じ証券会社に複数の口座を開設することはできない
- 一般NISAやつみたてNISAは日本全国の金融機関で1口座だけ。複数社への申し込みはできないので十分に検討してから開設しよう
ちなみに使ったことはありませんが、「mytrade」というアプリを使うと、複数の証券口座の資産や取引履歴を管理できるそうです。主に、株式売買で利益を狙いたい投資家向けのアプリですから、関心があればチェックしてみてはいかがでしょうか。